Lovefool : Seifer : 1

 話は前にさかのぼること、2ヶ月ほど前。
 バラム市内、とある居酒屋。

「信じられないっ。あの子ってどうしてああなの!?」
 ロックグラスを握りしめたキスティスが、隣に座ったチキン野郎に絡んでいる。
「ん、んなの、俺に言われても…」
 困るよな。
 実際、スコールには困ったもんだ。
 センセが逆上するのも、分からなくもねえ。
「もう3回目だもんね~、スコールが記憶飛ばすの~」
 俺の隣でヘタレがジントニをちびちび舐めながら、気色悪く語尾を伸ばす。
「はんちょはぁ、オトモダチ着けすぎなんだよ~。気に入られてるのは分かるけど~」
 セルフィが、右手のフォークを振り振り、文句を垂れる。
 大量のフライドポテトを限界まで刺し重ねたフォークはどうかと思うが、言ってることは正論だ。
 普通の人間は、G.F.を同時にそう何体もジャンクション出来ねーし、時間も限られてる。
 今夜ここに集まってるガーデン運営委員会のメンバー…、要するにあの石の家で育った連中は、SeeDの中でも特別な資質を備えているヤツばかりだ。
 スコールはそれ以上の特殊体質で、アクの強いG.F.をいくつも重ね着けして、高レベルで同調する。
 しかも、長時間連続して、ジャンクションを維持する。
 誰にも真似出来ねえ芸当だが、やり過ぎると、新しい記憶がすっ飛んじまう。
 例の副作用ってヤツが、劇症で発現するらしい。
「キャパ超えるとリセットかかるって分かってんのに、止めねえんだからなぁ」
 下戸のチキン野郎は、ひとりだけウーロン茶なんざ飲んで、鬱陶しいため息をついている。

 ここ一年足らずの間に、スコールはその手の事故が2回続き、一週間前、3回目の記録を更新した。
 去年リノアに振られたのは、スコールにとって強烈な刻み目らしく、そこまでは定着している。
 だが、その後の記憶が、セーブしたデータが消えるように、白紙に戻っちまう。
 初回のときは皆何が起きたか分からなかったが、エスタから派遣された医師団が原理を突きとめた。
 医師団の雇い主の意向で、スコールはG.F.の連続装用は避けるようにと、たっぷりと説教を食らったはずだ。
 にもかかわらず、本人のオーバーワークのせいで2度目の事故が起きた。
 周りの人間…とくにセンセは、スコールに自重するようにと、さらに口を酸っぱくして注意した。
 その甲斐あってか、半年ばかりは無事に経過したのに…ここに来ての3度目だ。
 当のスコールより、センセのほうが参っちまって、こうやってスコール以外の面子でガス抜きに飲みに連れて来た訳だが…。

「平気な顔して、『たかだか半年分忘れただけだろ?』なんて言うのよ。おかしいわよ、あんなの!」
 芋焼酎のロックグラスをがっと呷って、キスティスは間髪いれずにお代りをオーダーした。
 なみなみと入れてね! なみなみと!と注文を付けてる姿は、とても信者共には見せらんねえ。
「うーん。確かにスコール、リノアと別れてからしばらく、仕事以外は何でも他人事みたいだったよね~」
 そう言ってヘタレ野郎は、キスティスがテーブルに零した水滴をまめまめしくおしぼりで拭いた。
「最近、少し元気になってきたかな~? って思い始めたとこだったのに、また振りだしか~」
「やっぱり一回、やってみる~? ホラ、前言ってたアレ」
 セルフィが猫のように笑うのを見て、チキン野郎が気重そうな声を出した。
「あー…皆でスコール脅かしてみるっていう、アレ?」
「だってさ~、はんちょ、外に出すと何でも一人で何とかしようとするんだもん」
 セルフィは不満げな顔で、ざくん、と手にしたフォークを皿の肉に突き刺す。
「実際、なんとかなるのもいけないんだけどね~」
 ヘタレの悟ったふうな台詞に、早くも残り少ないグラスを手にしてセンセが「そうなのよねえ」と頷く。
「だけど、脅かすって言うけどさぁ。具体的に、どーゆーウソつきゃいいんだよ?」
 チキン野郎がセンセ越しに質問すると、セルフィはフォークを置いて腕を組み、むむ、と考え込んだ。
 なんか…すげえイヤな予感がする。
 しばし黙考したセルフィは、妙にきりりとした顔を上げ、ぐいとテーブルに身を乗り出した。
「…じゃ、こういうのどう? はんちょが目覚めると、懲罰室に寝かされてるの~」


 ――室内は夕闇に沈み、天井近くの窓から射す茜色のひかりが、白い壁を斜めに照らしている。
(はんちょ…意識戻ったんやね…)
 パイプベッドの枕元に立つセルフィは、悲しげにスコールを見下ろしていた。
(どうしたんだセルフィ…ここは…懲罰室か?)
(そう。うちらかて、こんなこと、したなかったんやけど)
 横たえられた身体の、両手両足が拘束されていることに気づき、スコールは狼狽する。
(何故だ?…俺は、いったい何を…)
 記憶の無いスコールは、目の前に立つセルフィに問いかける。
 少女の瞳から、ひとすじの涙が流れ、横たわる指揮官の顔に音も無く落ちた。
(はんちょ…。うち、まだ信じられへんわ)
 セルフィの頬を照らす夕日が、もう片側に暗い影を落としている。
 スコールは目を凝らすが、その表情は半分しか見えない。
(…何が。何があったんだ、俺は…)
 セルフィは薄く微笑んで、スコールの青白い額に自分が零した滴を、震える指先でそっと拭った。
(なあ、どうして…サイファーもとはんちょのこと、殺してしもたん?


「こらテメエ! 勝手にひと殺すな!」
 それまで黙って聞いていた俺は、思わず腰を浮かせてセルフィを怒鳴りつけた。
「だって~。ゼルやアーヴィンじゃ、信憑性ないも~ん」
 セルフィがカシスオレンジのグラスを空けて唇を尖らせると、センセまで「そうねー」と同意しやがった。
「何が『そうねー』だっ。俺が殺されんのは信憑性あんのか!」
「消去法で言えばあなたかと思って」
「何だとぉ!?」
「でもさ~。さすがに殺すのはまずくな~い?」
 俺が食ってかかろうとしたところで、ヘタレが間延びした声で駄目出しして来た。
「サイファー・アルマシー死亡、なんてデマが外に出ちゃったら大変だよ~。政治的にも色々あるしさ~」
 ヘタレの説得で、セルフィはしぶしぶ、物騒な案を引っ込めた。
「そっか、ダメか~」
「駄目に決まってんだろ。ったく」
 だが、スコールを騙す計画をあきらめる気はねえのか、セルフィは引き続き「うーんうーん」と考え込んでいる。
 新しいジョッキを取るついでに、唸る頭を「やめとけって」と軽くはたく。
 すると、それがどう作用したのか、頭の主が「あ!」と叫び、再びむくりと起き上がった。
「ねえねえ、じゃ、こういうのは!? はんちょが保健室で目覚めると、キスティスが枕元で泣いてて~」
「ええっ、わたし?」

 ――室内は夕闇に沈み、天井近くの窓から射す茜色のひかりが、白い壁を斜めに照らしている。
(良かった…気がついたのね、スコール)
 パイプベッドの枕元に付き添って、一心に見つめていたキスティスが、ほっと息を漏らした。
(ここは…保健室か。俺は、どうして…)
 眉をしかめ、身体を起こそうとするスコールを、キスティスが両手のひらを広げて押しとどめた。
(まだ起き上がっちゃ駄目よ。あなたったら、また無茶して倒れたんだから)
(…どうして泣いてるんだ、キスティス?)
 その両目から溢れるものに気付き、スコールが尋ねる。
 キスティスは慌てて、涙を手の甲で拭って俯いた。
(やだ、わたし…だって…あなたに何かあったら…)
 頬を染めた彼女は、もう片方の手のひらで、そっと自分の腹部を愛しげに撫でた。
(…わたし、この子をひとりで産む勇気が無くて…)


「ちょ、ちょっと待ってセルフィ! 無理があるでしょ無理が!」
 キスティスの声が裏返った。
「えー、そうかな~?」
 セルフィのほうはしれっとしている。
 確かにこれをやられたら、あのスコールも驚くだろーが…。
「キスティス、テメエさっき俺が殺された時は平然としてたじゃねーか」
「だって、こんなの困るわよ! 却下よ、却下!」
 キスティスの激しい抵抗に、セルフィはつまらなそうに頬杖をついた。
「なんや~、ノリ悪いなぁ。この後、キスティスの婚約者が出て来て盛り上がるのに~」

(やっぱりテメエだったんだなスコール! ひとのオンナに手え出しやがってっ! ああ!?)
 ドアが開いて姿を現した男は、大股にベッドに近づき、いきなりスコールの胸倉を掴みあげる。
(うっ、)
(サイファーやめてっ! スコールはまだ体が…!!)
 スコールが苦しげにうめき、キスティスが、必死にその腕に縋りつく。
(うるせえ! キスティ、お前はどいてろ!!)
 ドカッ!
 男は非情にも、身重の婚約者を皮靴で容赦なく床に蹴り飛ばした。
(きゃあっ!! 赤ちゃん…お腹の赤ちゃんがっ!)


「待てえコラ! 何で俺がそんな鬼畜扱い受けなきゃなんねーんだよ!?」
 バーン! と俺がテーブルをひっぱたいて凄んでも、効きやしねえ。
「え~? 結構美味しい役どころだと思うけどな~」
 本気で意外そうに首を捻ってやがる…。
「…セルフィあなた…任務中にワンセグで昼メロばっかり見てるっていう噂、ホントなんでしょ!?」
 だが、額に青筋を立てたキスティスに問い詰められると、セルフィの目が泳いだ。
「い、いや…そないなこと、あらへんで…別に…」
「でもよ~。これ、スコールが真に受けたらまずくねー?」
 今度はチキン野郎が異議を唱えた。
「え~、ヤバイかな~?」
「僕もマズイと思うよ~。ほら、彼、妙に真面目なとこあるからさ~」
 ヘタレも神妙なツラでうんうんと頷く。
「ヘタすると、ホントにサイファー殺されちゃうよ~」
 外野ふたりから諭され、セルフィは、大きなため息をついた。
「そっか~、そしたら最初の話に戻っちゃうか~」
 …。
 いろいろツッコむべきポイントはあるが、いちいち怒鳴んのが疲れてきた…。
 とりあえず飲むか…。
 俺は泡の消えかかったジョッキを傾け、疲れた喉を潤した。
「う~ん…はんちょがめっちゃ驚くことで~…オオゴトにならなくて~…お金が掛かんなくて~…」
 セルフィは性懲りも無く、また何事か考え込んでいる。
「セフィ、そんなに思いつめないでさ~。ほら、次の来たよ?」
 分厚いクリームを浮かせたクソ甘そうなグラスを、ヘタレがセルフィの前に置いてやる。
「そうそう、そんなマジで騙そうとする事なくね? スコールだって、何もわざと忘れてる訳じゃ…」
 チキンがなんとかソフトに収拾つけようとするが、セルフィは三たびがばりと起き上がって叫んだ。
「じゃこれ! これで決まり!」
「今度は何だよ」
「はんちょが自分の部屋で目覚めると、もとはんちょが枕元に付き添ってるの~」

 ――室内は夕闇に沈み、天井近くの窓から射す茜色のひかりが、白い壁を斜めに照らしている。
(目が覚めたのか、スコール?)
 自室のベッドの枕元で、見慣れた幼馴染の顔が見下ろしていた。
(どうしたんだ、俺は……)
 眉をしかめ、身体を起こそうとするスコールを、サイファーは両手で押しとどめる。
(バカ、まだ寝てろ。お前、また無茶して倒れたんだから)
(……なんで、あんたがここに?)
(なんでって…ヘンな事訊くなよ)
 サイファーは、ぼんやりと見上げてくるスコールの頬に手を伸ばし、優しく微笑んだ。
(そりゃお前…可愛い恋人の身を案じるのは当然だろ?)


ふっざけんなゴルア!! テメエ、ひとをおちょくんのもいい加減にしろっ!!」
 ガゴン!!
 俺は今度こそ切れて、生のジョッキをテーブルに叩きつけた。
「うへえ~。俺、うっかり想像しちまった…」
 チキン野郎がげんなりした顔で口元を押さえる。
「え~、駄目かな~?? 今、裏サイトじゃこーゆーのが一番人気なのに~」
「今までの中では、一番いい気がするわね」
 セルフィが上目づかいの瞳をパチパチさせ、可愛く小首を傾げると、対面のセンセも腕を組み、もっともらしく頷きやがる。
「三択で選ぶんじゃねえっつの!」
「でもお~。これならウソってバラしたとき、そんなに怒られないと思わない~?」
「あ~、ウソって分かってホッとするってこと?」
 ヘタレは「どうかなあ、前の二つよりはいいかもだけど」と肩をすくめる。
「そうか…? オレはめちゃくちゃ怒られる気がするけどな…?」
 さすがシラフの男、チキン野郎は納得いかねえ顔だ。
「でも、さっきの二つよりはいいでしょ~?」
 俺はチキンまで丸めこもうとするセルフィの眼前で、もう一発テーブルを叩いた(効かねえけど)。
「勝手に話を進めんじゃねえ! 大体、何で俺なんだ!」
 びしっと人差し指を突き付けて問い詰めるが、セルフィはストローでグラスのクリームだけを吸ってから、再び唇を尖らせた。
「だって~。ゼルやアーヴィンじゃ信憑性ないや~ん」
「テメエの言う信憑性ってゆーのは一体なんなんだ!?」
 付き合いきれるか! と匙を投げそうになったとき、ヘタレ野郎がのんびりと口を挟んで来た。
「でもさ~。セフィの言うとおり、僕やゼルじゃリアリティないよ。スコールのこと、押し倒せないもん」
 ブフォア、とチキン野郎がウーロン茶を噴いた。
「やーん、ゼル、興奮しすぎ~」
「ちげーよ!!」
 顔が真っ赤にして怒鳴るチキンを横目に見て、ヘタレ野郎はへらへらと笑う。
「ね、ホラ無理でしょ~? もしそんなこと出来るとしたら、ガーデンじゃサイファーぐらいだって~」
 …まあ、確かにそれはそうかもしれねーな。
 チキンやヘタレ野郎じゃ、相手になんねえだろう。
「だけど、スコール信じるかぁ? いくらなんでも無さ過ぎねえ?」
 不安そうなチキン野郎に、キスティスが鷹揚に微笑んだ。
「このぐらい極端なほうがいいわよ。びっくりしてもらうのが目的なんだから」
「でもよ~。…サイファーに任せちまって、ホントに大丈夫か?」
 疑わしげな目がこっちにじーっと注がれる。
「何だとお? …聞き捨てならねえこと言うじゃねーか」
 まるで、セルフィの原案より、配役の俺に問題があるみてえな言い方しやがって。
「だって、子供のころの学芸会、ひっどかったぜー?」
 チキン野郎はテーブルに頬杖をつき、恨みがましい視線を投げてくる。
「途中からアドリブの連続で、話が全然別物になっちまって、周り中みんな途方に暮れてよ~」
「そんなの、マジで大昔の話だろーが」
 大体、ヘタレ以外はこの間まで、皆すっぱり忘れてやがったくせによ。
「そういえばそんなことあったわねー。やっぱりアーヴァインにやってもらう?」
「そうやね~。体格的に言えば、アーヴィンでも十分やし」
 女ふたりがにわかにヘタレ野郎に気を移すと、ヤツは気色悪く頬を染め、グラスをマドラーで無闇に撹拌し始めた。
「え~、僕!? そんなの困るなぁ~。スコールが恋人なんて、何か緊張しちゃうし…」
「え、なに、アーヴィン、もしかして、ホントにはんちょに気があるの!?」
「そ、そんなんじゃないけど…ほら、スコールってさあ、ときどき無駄に色気があるっていうか…」
 …むか。
 何が気に障ったんだかわからねえが、気に障った。
「…いいや分かった。俺がやる」
「え! もとはんちょ、やってくれるん?」
 突然態度を翻した俺を見上げ、セルフィの両目が輝く。
「…」
「なんだチキン。俺じゃ不満か?」
「だってよー。よりによってサイファーが恋人だなんて、そもそもスコールが信じるとも思えねーし」
「そんなの、ヘタレだって一緒だろ」
「いや、まだアーヴァインのほうがアリって言うか」
 …何だとお?
 さっきよりもさらにはっきりと、むかっ腹が立った。
「テメエ、言ってくれるじゃねーか。俺の何処がヘタレに劣るってんだ」
「何処って…」
「まあ、見てろ。絶対信じさせてやっからよ」
 ヘタレなら信じて、俺なら信じねーってのはどういう判断だ。
 言っとくが、テメエらより俺のほうが、よっぽどスコールのことは分かってんだぜ。
「ちょっとサイファー、変なことするつもりじゃないでしょうね?」
「そうそう、もちろん本気で迫るのは駄目だよ~? あくまで『フリ』なんだから」
 俺の態度が余程不遜に見えたのか、キスティスとヘタレが心配そうにおかしな釘を刺してくる。
「しねーよ! 俺がアイツ相手に何かするわきゃねーだろが!」
「それはそうだけど…あなた、手段を選ばないトコがあるから」
「真顔で言うな!お前ら、俺をどういう人間だと思ってんだ!」
 テーブル越しにセンセとヘタレを一喝し、俺は頭の中で、本気で作戦を練り始める。
「…アイツは、複雑そうで案外単純なんだ。ポイントさえ押さえりゃ騙せる」
「ホントかよ?」
 チキン野郎が浮かない顔で腕を組んだ。
「おう、俺様にかかれば楽勝だぜ」
「暴走したりしねえ?」
「あのなぁ…。俺が代わりにB.G.の指揮官になるとかじゃねーんだぜ? 単にスコールの恋人って設定で、何をどう暴走するっつーんだ」
「そうだけどよ…」
 チキンは他に止める人間はいないのか、って顔でメンバーを見回す。
 ったく、つくづく俺を信用しねえのがイラつくぜ。
 だからテメエはいつまでもチキンだってんだ。
「言っとくがな、俺とスコールは同室で、案外うまくやってるんだぜ?」
「…それは、思ったより上手く行ってると思うけど」
「何もずっと騙そうってんじゃねえ、バラすまでの間、それっぽい雰囲気足せばいいだけだろーが」
 ようやく不承不承、チキンが「そこまで言うならいいけどよ…」と頷いたところで、セルフィがご機嫌でガッツポーズを繰り出した。
「おお~。んじゃ、決まりっ! 今度はんちょが記憶を失くしたら、ミッションスタート!」

 初めは冗談だったんだ。
 それがこの晩、酒の勢いと場の流れで転がり出した。
 本当のことを言っちまえば、皆、スコールが記憶をぽんぽん失くすのが気に入らなかったんだ。
 あいつにとっちゃ、リノアと別れた後、俺たちと過ごしてる毎日が、何の意味もないみたいで…。
 この話が、まさかあんな方に転がってっちまうものとは、このときは、まだ誰も知らなかった。



2013.07.06 / Lovefool : Seifer : 1 / to be continued …

 サイファー編です。申し訳ありませんが、まったく同じ話にもう一度お付き合いください…。
 セルフィのトラビア弁が書けず、ネイティブトラビア人の方が読むとおかしなかんじになってると思いますが、お許しください。むしろどなたかトラビア弁監修してほしい。